amaneのブログ

思考を整理整頓するための場です。

意味

 暗闇の中を一人で進んでいくことは怖くない。けれど、前の見えない暗闇に誰かと一緒に落ちていくことは怖いと思った。

 これは私の我儘だ。きれいでいてほしいだなんて言わないけれど、私と一緒にはいて欲しくない。私がどこか暗い場所で動けなくなっていたとしても、どうか暗闇に触れようとしなくていい。何も見えなくなって進めなくなったときにあなたのもとへ行けるように、ただ、明るい場所で笑っていてほしい。私はいつだって、それだけを思っている。

 

  純白なものにたとえ一雫でも真っ暗な点を落とすことは忍びないと、彼は言った。けれどどんなに黒く暗い点が彼女に落ちたとしても、彼女は純白なまま前を向きつづけただろう。その清廉さにきっと彼は、私は惹かれていたし憧れていたし、同時に悲しみも抱いていた。それでもいつの間にか彼の悲しみは消え、あとには憧れにも羨望にもならない、眩しさだけが残った。その眩しさは、もう二度と手に触れることはできない。目を細めて見つめるだけしかできない。

 そういうものが確かにこの世にはある。でも私はきれいなままでいて欲しいとは思わなかった。でも、一緒に落ちてほしいとも思えなかった。

 

 ともに地獄へ落ちる優しさも、地獄へ落ちようとする手を力強く引く優しさも、ただ、私にとってはそうでなかったというだけだ。

 

 作品は私にとって光のようなもので、まさしくあたたかく輝いている。もうどこにも暗いものなんてなくていいように、悲しくとも何かを好きだと、毎日笑えるように、自分のためでも、誰かのためでも、何かの理由ひとつもなく、ただそこに花が咲いて星があるように作品にもそうであってほしい。

 誰に謝らなくてもいい。彼らが生まれてきたこと、私が生むことに、何ひとつ理由がなくてもそれでもいい。それが私の我儘だ。